アナログ音源のデジタル化 —STANTON T.92 使い方メモ—

今日は2014年12月31の大晦日です。気がつくと今年も最後の日となりました。年末にいろいろ物を整理しようとしているのですが、その一環として、この年末期間に今年購入したレコードのデジタル化をしておこうと思いました。レコード音源のデジタル化のための機材を持っていませんでしたので Amazon であれこれ見ていたのですが、レビューが良さそうなので STANTON USB端子搭載 ターンテーブル T.92 USB を衝動的に買ってしまいました。

昨日かなり重量のある大きな梱包で商品が到着しました。ひと通りセッティングして使用してみたのですが、どうも新しい電化製品を購入した喜びがあまりありませんでした… フォノイコライザー内蔵なのでアンプにつなげればすぐに音は出ました。ダイレクトドライブ方式のハイトルクなターンテーブルなので回転も安定しているし、USB・S/PDIFアウトプット装備なのでPCにつなげばアナログ音源のデジタル化も簡単に可能です (16bit, 44.1KHz)。でも、「年末、もう日にちがない…」と衝動的に注文したので、なんだかもう少しいろいろ吟味してから購入しても良かったかな、という気持ちが残りました。ということで、到着した初日は、そのまま放置して寝ました^^;

さて、今朝起きても、やっぱりそこにあったので (当然!)、購入した目的だったアナログ音源のデジタル化を行なって見ました。

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以下、行った作業を備忘録としてここに記録しておきます。レコードの音源をデジタル化して iPhone で聴けるようになるまでを目指します。作業は Mac OS X (Yosemite, 10.10.1) で行いました。サウンド編集ソフトは Audacity が推奨されていますが、代替のものでも可能だと思います。私は普段から Audacity を使用しているので、そのままこのソフトを使用しました。他にも、レコードのクリックノイズやポップノイズなどの除去に有効な Izotope Music & Speech Cleaner も付属していましたので、これも使用してみました。このソフトの効果も見てみたかったので、今回デジタル化を実行したのは、クリックノイズのあるレコードで試しました。

手順はそれほど複雑ではありません。

1. Stanton T.92 と Mac を USB でつなぐ。
2. レコードを再生して Mac の Audacity で録音する。
3. Music & Speech Cleaner でノイズの除去を行う。
4. ファイルをトラックごとに分割する。
5. iTunes に取り込み、iPhone に同期する。

Stanton T.92 と Mac を USB でつないで、Mac で Audacity を起動しておきます。「環境設定」の「デバイス」を以下のように「録音」のところを「デバイス: USB Audio Codec」「チャンネル: 2 (ステレオ)」に設定しておきます。

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録音デバイス (マイクのマーク) が「USB Audio Codec」「2 (ステレオ)」になっていることを確認します。Stanton T.92 でレコードを再生して、Audacity の左上の赤い録音ボタンをクリックして録音開始します。

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A面・B面両方の録音が終了したら (ファイルは後で分割する)、黄色の停止ボタンを押してから、ファイルメニューの「オーディオの書き出し」を選択して、ファイルを AIFF として書き出します。

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Stanton T.92 付属のソフト Music & Speech Cleaner (MSC) を使用してノイズの除去を行います。「reduce pops」からレコードのクリックノイズやポップノイズなどの除去の程度 (amout) が調整できます。「reduce noise」(ノイズ除去) など、その他の希望の作業の「power」をクリック (緑色になる) して、「save as」で保存します。私は Audacity で録音したファイルは少しボリュームが小さいように感じたので (Stanton T.92 自体にはボリューム調整は見当たらなく、Audacity 側でも調整できなかった)、この時点で「enhance music」からボリュームレベルを少し調整しました。

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さて、以上でレコード一枚分の大きなファイル (AIFF or WAV) が出来上がりました。これをトラックごとに分割するために再び Audacity に読み込みます。先に分割しておいてから MSC でノイズ除去を行なっても良いのですが、分割されたファイルごとに行うのは手間なので、私はこの順序にしました。

Audacity で複数のトラックに分割するには、まず「トラック」「選択範囲にラベルをつける (⌘B)」で、分割したい位置にラベルをつけておきます (cf. どのようにして長い録音を複数のトラックに分割するのですか?)。

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すべてのラベルがつけ終わったら、ファイルメニューの「複数ファイルの書き出し」を選択して「書き出し」ボタンを押します。選択したフォーマットで、それぞれの曲が分割されたファイルとして保存されます。

私はデジタル音源は iTunes で管理しているので、これらのファイルを iTunes に取り込みました。「情報を見る (⌘I)」から、タグ情報やアートワークなどを変更しておきました。

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以上でレコードから取り込んだ音源を iTunes で聴けるようになりました。今回はビットレート 1411kbps、サンプルレート 44.100kHz の AIFF オーディオファイルが出来上がりました。なかなか高音質の良いデータです。

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最後にこのアルバムを iPhone に同期します (画像は UBiO の再生画面)。

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以上で今回の目的が達成されました。

記事にすると長くなってしまいましたが、実際にはそれほど複雑な作業ではありません。レコードを録音中、優雅にコーヒーでも飲みながら別のことをやっていればあっという間に終わります。最後のアルバム情報の入力がやや面倒でしょうか。このあたりはCDの取り込みとは違う大変さですが、こうして出来上がったデータには少し愛着がわきました(^^)

昨日 Stanton T.92 が到着した際は、このターンテーブルは 16bit 44kHz (or 48kHz) までの対応なので、今の時代ハイレゾ (24bit 192kHz etc.) などに対応した機器はたくさんあるので、すこし早計だったかなと感じたのですが、考えてみれば、家で聴くときはわざわざデジタル化されたデータを聴かなくともレコードのまま楽しめばよいし、持ち運ぶときは、私は最近はもっぱら iPhone でしか聴かないので、そのような高音質のデータは今のところ必要ありません。将来的にハイレゾ対応の携帯音楽プレーヤも欲しいと考えているのですが、まあ、その時はまたその時で考えようと思います。

[追記 2015/01/02]

Mac の TuneUP というアプリを使えば、多くの場合 (CDDB に登録のあるもの) でアルバム情報を自動で入手できます。

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他にもフリーのものも含め同種のアプリはいくつかあると思いますが、こうしたものを利用すれば取り込んだ音楽ファイルのタグ情報を手動で入力する必要もなくなりますね。

[追記 2015/01/21]

カートリッジを SHURE M44G に交換しました。

針圧は通常より少し軽く 0.75〜1.5g ほど。出力レベルが少し上がり音質も鮮明です。綺麗に鳴っています。

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