以前の記事 (さくら VPS の余ったスペースを Dropbox のように利用する) で Git を用いたファイル共有システム SparkleShare について書きました。今回は、WebDAV を使ったファイル共有システム ownCloud の導入手順をここに残しておきたいと思います。 ownCloud は、ファイル共有には WebDAVが、インターフェース部分には PHP がそれぞれ用いられているようです。
私はさくら VPS では Debian Squeeze を利用しており、以下の導入手順はそれに準じますが、パス等適宜読み替えれば基本的な手順はほぼ同様だと思います。
インストール
今回は ここ を参考にリポジトリを追加して ownCloud のインストールを行いました。
リポジトリの追加
$ sudo echo 'deb http://download.opensuse.org/repositories/isv:ownCloud:ownCloud2012/Debian_6.0/ /' >> /etc/apt/sources.list.d/owncloud.list $ sudo apt-get update
パッケージのインストール
$ sudo apt-get install owncloud
Debian Squeeze では、はじめ依存関係でエラーが出ました。
owncloud : Depends: php-getid3 (>= 1.9.3-1) but 1.7.9-1 is to be installed Depends: libjs-jquery (>= 1.7.2-1) but 1.4.2-2 is to be installed
これらは wheezy のもの (php-getid3, libjs-jquery) をインストールすることで対処しました。
リポジトリ鍵のインストール
$ wget http://download.opensuse.org/repositories/isv:ownCloud:ownCloud2012/Debian_6.0/Release.key $ sudo apt-key add - < Release.key
サーバー設定
mysql
MySQL のデータベースを予め用意しておきます。
$ mysql -u root -p > create database owncloud; > grant all privileges on owncloud.* to 'owncloud'@'localhost' identified by '<パスワード>';
初期設定
http://<設置したサーバ>/owncloud/
にアクセスして初期設定を行います。ここで管理ユーザーとパスワードを設定します。先ほど用意したおいた MySQL のデータベースの情報を入力します (user: owncloud, password: <パスワード>, database name: owncloud)。
この画面でファイルをアップロードできます。データはデフォルトでは /var/lib/owncloud/data
に置かれます。
左下の歯車マークをクリックして、”Personal” (個人設定) で “Language” (言語) を日本語に変更するなど、その他の諸設定を適宜行います。
Web 上のインストールガイドの一部には “Force SSL” のチェックボックスがあるように書いてありますが、私が今回インストールしたもの (version 4.0.8) にはありませんでした。Force SSL したい場合は /etc/owncloud/config.php
に以下の一行を加えると可能なようです (cf. OwnCloud Forums)。
"forcessl" => true
最後に Apache を再起動しておきます。
$ sudo service apache2 restart
なお、Dropbox と同様に ownCloud でも通常はサーバーと複数のクライアントでデータの読み書きをし、そのバージョン管理を行いますので、サーバー側が常に正確な時刻を保つように NTP を導入しておくとよいかもしれません (cf. NTP で時刻合わせ)。
クライアント設定
専用クライアント
Sync Clients で Mac/Windows/Linux のクライアントソフトがダウンロードできます。ここでは Windows 7 (SP1) で試してみます。latest をインストールするとサーバーのバージョン (4.0.8) が古いと怒られましたので、通常版 (1.0.5) をインストールしました。
使い方は Dropbox と同様で、デフォルトではホームにできた ownCloud
フォルダがサーバーの clientsync
フォルダと同期されます。
なお、再起動後に自動スタートする設定は見当たりませんでしたので、スタートアップフォルダに ownCloud のショートカットを作成しておきました。
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Startup\ownCloud.lnk
iOS
専用のアプリ (ownCloud, 有料) もあるようですが、ownCloud の実体は WebDAV サーバーですので、既存の WebDAV クライアントでもアクセス可能です。例えば iOS 定番の GoodReader でもアクセスできます。WebDAV のアドレスは次のようなものです。
WebDAV http://<設置したサーバ>/owncloud/remote.php/webdav/
GoodReader で “Connect to Servers” から WebDAV サーバーを追加してみます。
接続が成功するとクライアントでのデフォルトのフォルダ “clientsync” が見えます。
“さくら VPS に ownCloud を導入する” への2件の返信